2018.06.20

鳥越コーチ、熱い指導の原点は
「星野さんより100倍怖い」あの人物

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

【連載】チームを変えるコーチの言葉〜千葉ロッテマリーンズ ヘッドコーチ・鳥越裕介(4)

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 現在はロッテの一軍ヘッドコーチを務める鳥越裕介だが、ソフトバンクで現役を引退した後は二軍の指導者だった。2006年オフの秋季キャンプから08年まで内野守備・走塁コーチを務め、09年から二軍監督。当時からチームの雰囲気をなにより重視していた鳥越は、たとえ二軍の試合であっても勝つことを大事にした。

現役時代、中日、ソフトバンクで13年間プレーした鳥越裕介(写真左) その一方で、若手を育成する現場の指導者ならではの責任を思い知らされていた。鳥越が当時を振り返る。

「選手の親御さんから、よく『お願いします』って言われていたんです。特にキャンプで新人選手の親御さんに会ったとき。みなさん、僕より年上なんですけど、『監督、ウチの子、よろしくお願いします』って頭を下げるんですよ。これはもう自分自身、大変なものを預かるんだな、という責任の重さを感じましたよね。

 僕は子どもがいないので、なんとも言えないところはあるんですけど、そのとき親にとって子どもは宝物なんだって教えられました。そこで、子どもが宝物ならば、そのまま選手は宝物なんだから、僕らが本当にしっかり見てあげなきゃいけないと痛感したんです」

 若い選手を指導するのは子育てと一緒なんじゃないか――。鳥越はそんな気づきを得ながら二軍監督、コーチを務めてきた。「プロ野球選手も一社会人であって、日常生活という普通のことを普通にできなくてなにが偉いのか」という考えを持つだけに、必然的に目指すべき指導者像は親だと思うようになった。

「お父さんであり、お母さん。父性と母性、両方を併せ持っているコーチを目指してやってきました。たとえば、いま言ったように僕は子育ての経験ないんですけど、子どもって、すぐ親の真似をすると思います。だったらコーチとして、選手の前での言動には気をつけないといけない。

 子どもはいいことより悪いことを真似しがちだっていいますからね。その点、ご飯のときにヒジをつかないとか、家庭でもルールってあると思うんですけど、まず親が見本を見せないといけない。それでも子どもがヒジをついていたら、ただ叱るんじゃなくて、こういうルールなんだよって教えてあげなきゃいけない。野球の現場も家庭も一緒だと思いますね」