2018.06.05

クビ寸前から虎の大エースへ。
メッセンジャーを変えた「ジョーの助言」

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「日本に来てもう9年目なんて本当に信じられないよ」

 ランディ・メッセンジャーはこう叫びながら、アメリカから彼の成功ぶりを取材するために訪れた記者を出迎えた。

 もちろん、9年目というのは阪神タイガースに入団してからの年数である。実は、メッセンジャーより長くタテジマのユニフォームに袖を通した外国人選手は他にいない。この事実に誰よりも驚いているのは、メッセンジャー自身である。

「こんなに長くタイガースでプレーするなんて、本当に信じられない。でも、このチームが好きだし、ずっとここにいたいんです」

NPB通算100勝まであと9勝と迫ったランディ・メッセンジャー 今シーズン、メッセンジャーは史上9人目となる外国人選手の国内FA権を取得した。つまり、来季からメッセンジャーは外国人枠を外れることになる。

 これだけ長きにわたって成功を収めてきた理由のひとつは、メッセンジャー自身が武器だと思っていた198センチという体の概念を変えたことが大きい

「初めて日本に来たときは、とにかくパワーでねじ伏せてやろうと思っていたんです。でも、それが間違いだということに早い段階で気づかされました。日本の打者はみんな、ストレートには対応してくるんです。できないと思っていたのですが、間違いでした。自分がどれだけ日本の野球に無知だったか、思い知らされました。ホント、ひどい目にあいました(笑)。それ以来、自分の持っている球種を使って生き残るにはどうすればいいのか、ずっと考えていました」

 メッセンジャーの来日1年目(2010年)の成績は、26試合に登板(うち先発は14試合)して5勝6敗、防御率4.93、80回1/3を投げて三振は48しか奪えなかった。数字だけを見れば、”ダメ助っ人”のレッテルを貼られてもおかしくない。

 ところが、日本野球への偏見をなくしたメッセンジャーは、その翌年から順調に勝ち星を積み重ね、昨シーズン終了時でNPB通算84勝をマーク。今シーズンもここまで(6月4日現在)すでに7勝を挙げている。日本でプレーしたアメリカ人投手の通算勝利数1位まで、あと10勝に迫っているのだ。