2018.02.13

黄金ルーキー・中村奨成に特別扱いなし。
広島流「愛のムチ」で育成中

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 中村のバッティングを見守った水本監督も、まだ木製バットの対応に課題があると指摘する。

「高校日本代表にも選ばれていましたが、大会では正捕手ではありませんでしたよね。やはり、他の選手よりも木製バットを扱いきれていなかったことと無関係ではないと思うんです。ポイントの置き方、タイミングの取り方など、覚えなきゃいけないことは山ほどあります」

 それでも日南入りして2日目の特打では7本のサク越えを放った。この日はセンターから右方向への打球が多かったが、初日よりも明らかにヒット性の当たりが増え、さすが超高校級と呼ばれるだけの能力の一端垣間見た。

 特に「ホームランを打てば終わり」という森笠繁コーチの指示を受けた直後の1球で一発クリアしてしまうあたりは、天性の勝負強さを感じさせ

 現在、広島のキャッチャーは1学年上の坂倉将吾が一軍で首脳陣に猛アピールを続けている。中村の入団が坂倉に好影響をもたらしたのでは……という声も多く聞こえてくるが、このことについて水本監督はキッパリとこう否定する。

「坂倉は向上心が強く、1年目から誰よりも上手になりたいとの思いで鍛錬を続けてきました。今の中村は、正直、坂倉の尻に火をつけるほどの存在ではありません。いずれは高いレベルでポジションを争ってほしいと思いますが、今の段階では比ぶべくもないです」

 現状、水本監督は中村について「いつ頃までに一軍へ」という見通しすら立っていないと言い切る。

「単純に振る力を比較しても、高卒1年目当時の丸佳浩や鈴木誠也、坂倉の方が上です。でも肩や足のパフォーマンスは、過去に高卒でウチに入ってきた選手のなかでも明らかにトップクラス。この点に関しては、評価が揺らぐことはありません。ひとつ覚えればひとつ忘れる、ということを繰り返しながら成長していくのが高卒ルーキー。だから根気強く、道を踏み外さないようにしっかりと導いていくしかないんですよ」

 丸や鈴木ら、高卒ルーキーを猛練習で鍛え上げ、球界を代表する選手へと育て上げた広島だけに、二軍で”中村フィーバー”が起きようが、チームは動じることはない。

 水本監督の厳しい言葉のなかにも、伝統の育成に対する絶対的な自信を感じ取ることができる。だからこそ、中村の将来に大きな期待を抱かざるを得ないのだ。

◆山本昌は広島ドラフト2位・山口翔をどのように評価していたか?>>

◆山﨑武司は高校時代の中村奨成のバッティングをこう評価していた>>