「何が足りなかったか」トライアウトに現れた元ドラ1たちのプロ人生 (5ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

昨年現役を引退した巽真悟だが、今年再びトライアウトに挑戦した昨年現役を引退した巽真悟だが、今年再びトライアウトに挑戦した 昨年、甲子園球場で開催されたトライアウトで参加投手最速の148キロをマークした巽真悟(たつみ・しんご)。確かな手応えを胸に他球団からのオファーを待ったが、吉報は届かず。現役引退を表明し、一般企業の正社員として新たなスタートを切っていた。

 就職先がBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスの親会社であることに加え、ZOZOマリンスタジアムへの人材派遣を請け負っていたこともあり、就職後も野球と関わる機会が多かった。その関わり合いの中で「野球への思い」がふつふつと湧き上がった。

「NPBを目指すためのアピールの場を求めている独立リーグの選手たちを見て、トライアウトの受験資格がある自分ってすごく恵まれているな、と感じたんですよね。せっかくそのチャンスがあるなら、やれるうちにもう一度挑戦したいな、と」

 今回の参加にあたり、トライアウト前日付で会社を退職。社長も「残念だけど、頑張ってこい」と送り出してくれた。そして「参加を正式に決めたのが1ヵ月半前、ボールを使った練習を始めたのが1カ月前」と急ピッチでトライアウトに向けての準備を行なった。

「ホークスのユニフォームを着るのも、打者相手に投球するのも1年ぶり」というマウンドでの結果は打者4人に対し、1四球1本塁打。手放しで喜べる内容ではないものの、138キロをマークした。

「もう少し準備期間があれば......と思うところもありますけど、今の自分が持っている実力は出し切れたと思います」と昨年同様やり切れたことを強調した。

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