日本球団の獲得なるか。2年連続4割バッター「台湾の大王」がご降臨 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 安打数こそ減らしたものの、本塁打は昨年の29本から31本とわずかだが伸ばした。というより、彼は24歳にしてすでに、記録(数字)でくくるべき打者ではないように思える。それほど台湾プロ野球界で突出した存在である。

 プロ入りしたのは2015年。大学時代から知られた選手ではあったものの、身長181センチ、90キロの体格だけを見れば、決して目を引くようなものはなかった。別の台湾プロ野球関係者が証言する。

「好打者だが、長打力はそれほどないのでは......というのが、プロ入り前の評価でした」

 ところが、シーズンに入ると長打を連発。実際、私もナマでプレーを見る機会に恵まれたが、バットの使い方がシャープで柔らかく、ひと目見て、傑出したセンスの持ち主であることがわかった。

 また、王柏融の素晴らしさは打撃だけではない。外野手としての守備では肩の強さこそ平均的だが、スローイングは正確で、ポジショニングも的確。走塁も、今季は16盗塁と数字は平凡だが、状況に応じた判断力は評価が高い。今大会、NPBの関係者が最も注視する選手なのは間違いないが......。

「それが活躍できないと思う理由なんです」と冒頭の関係者は苦笑する。

「王柏融の性格は強気。しかし、今回ほど注目されて出場する試合はかつてありませんでした。気負い、力んで、本来の実力を発揮できない気がするのです」

 とはいえ、対戦する日本、韓国の選手も今回は24歳以下ということで、国際大会の出場経験は比較的少なく、王柏融にとっては決して難しい相手ではない。

 いずれにしても、王柏融にとって今大会は実質的な"国際大会デビュー"といえる。今大会はもちろん、これから先も侍ジャパンの前に立ちはだかる可能性は高い。日本プロ野球の複数球団関係者が熱視線を送る台湾戦では、結果はともかく、2年連続4割を達成した王柏融の打席に注目してもらえればと思う。

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