筒香と山﨑。DeNAの「ボスキャラ」登場で
史上最大の下剋上なるか (3ページ目)
「プレッシャーを受ける人もいるので、8回になってから伝えました」
山﨑は8回にパットンがマウンドに上がる前、ブルペンで肩をつくっているときに、コーチから柳田まで回ったらいくぞと言われた。
そのときの気持ちを山﨑は次のように語る。
「今シーズンは一度もなかった場面での登板だったので自分自身わからないところはありましたが、いくぞと言われても気後れしない準備はしていました。3連敗したときは投げられず悔しい思いをしていたので、どこであってもいける、チームが本当に困ったとき投げるチャンスはあると考えていました」
山﨑はフルカウントからツーシームで柳田を切って取りピンチを脱した。ただ問題はここからだった。イニング間の気持ちの整理──イニングをまたぐにあたり、リズムや気持ちを保つことがうまくいかず打ち込まれてしまう投手は少なくない。
「今までやったことがない分、そこが一番難しかったですね。僕は、野球はメンタルスポーツだと思っているのですが、とにかく自分のパフォーマンスを発揮するために1秒1秒を大切にしていました。ネガティヴなことを考えることなく、残り3つのアウトをいかに取るのか。ピンチになっても自分のボールを信じて投げることが大事だって」
しかしながら9回は今宮健太、内川聖一、松田宣浩にヒットを許し、二死満塁のピンチを迎えてしまう。1点リードの状況、一打出れば逆転を許してしまう。打者はくせ者の明石健志。だが、山﨑の心の中は凪(なぎ)のように落ち着いていた。
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