先制なら勝率ほぼ9割で、
1番・柳田悠岐が与える恐怖のプレッシャー (2ページ目)
必死の治療を経て、柳田はCS第5戦で電撃復帰。シーズンでは不動の3番だったが、この日は「1番・センター」で出場。1番は、昨年8月11日のオリックス戦以来だったが、初回に先制点につながる内野安打を放つなど、チームの勝利に貢献した。
そして日本シリーズでも3番ではなく1番として出場している。その意図を達川光男ヘッドコーチは次のように語る。
「もし試合の途中で体が痛くなって交代となると、城所(龍磨)らになる。そこで柳田の代わりに3番に入ると、どうしても打線が弱くなる。でも、1番ならすんなりいくからね。そっちの方がいいだろうと。そういう考えから、柳田を1番にしました」
万が一のリスクに備えた策であると達川コーチは語ったが、さらにこう付け加えた。
「試合が始まり、いきなりホームランバッターが打席に入ってくるって、バッテリーにとってはすごく嫌なんです。私も現役時代、当時阪神の真弓(明信)さんが1番のときは嫌やったからね。そういう考えもありました」
DeNAもソフトバンク相手に先制点の重みは知っているはずだ。シーズン31本塁打の柳田といきなり対戦するバッテリーの重圧は想像に難くない。だからといって、立ち上がりから際どいコースを狙いすぎて四球で歩かせることもしたくない。そうなるとストライク勝負をせざるを得なくなり、好球必打の柳田にとっては好都合になる。
2年前のヤクルトとの日本シリーズ。山田哲人との"トリプルスリー"対決に注目が集まったが、3番を打つ柳田は苦しんだ。5試合で18打数3安打、4四死球。そのうち長打は二塁打の1本のみ。チームは日本一を達成したが、柳田自身は不完全燃焼のままシリーズを終えた。
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