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先制なら勝率ほぼ9割で、
1番・柳田悠岐が与える恐怖のプレッシャー (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 シーズンで揺るぎない強さを見せつけたソフトバンクだったが、数少ない弱点のひとつに絶対的な1番打者の不在があった。開幕戦での今宮にはじまり、福田秀平、中村晃、川﨑宗則、本多雄一、明石健志、川島慶三、松田宣浩、上林誠知と、1年間で実に9人の選手が務めたが、1番打者の通算打率は.250で、出塁率も.320。ともにリーグ5位の数字である。

 それが日本シリーズでは、まだ2試合ではあるが8打数4安打、1死球と、核弾頭らしい働きでチームに勢いをもたらした。

 ただ、2戦目については先制したものの6回に逆転を許し1対3。今シーズン、ソフトバンクが6回終了時にリードを許していた試合は6勝40敗(勝率.130)と劣勢を強いられており、データ上では敗色濃厚ムードが漂った。

 ところが、この窮地を救ったのが柳田だった。7回、この回先頭の代打・明石が二塁打。続く代打の城所龍磨がセーフティーバントを試みるも、結果犠打となり一死三塁。ここで打席には柳田。この場面、犠牲フライや内野ゴロの間に1点を返しただけだったら、まだDeNAのペースだっただろう。しかし、柳田はセンター前に弾き返した。1点を奪い、なおも一死一塁。

 ここで今宮は痛烈な打球を放つもセカンドゴロ。4-6-3のダブルプレーかと思われたが、猛然とベース目がけて走ってくる柳田に目を奪われたのか、二塁からの送球をショートの倉本寿彦がまさかの落球。これがきっかけとなり、ソフトバンクが逆転で連勝を飾った。

 第3戦から場所を横浜スタジアムに移しての戦いとなるが、勝負のポイントは"1番・柳田"。特に第1打席は要注目である。

 一昨年の交流戦でバックスクリーンの電光掲示板を破壊する超特大の一発を放った思い出の地で、柳田のバットが火を噴けば......日本シリーズは早くもクライマックスを迎えることになるだろう。

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