高橋由伸監督に欠ける危機管理能力。
名コーチが目配りの必要性を諭す (2ページ目)
さらに、最初のカードがパ・リーグ首位の楽天というのもツキがなかった。もし調子を落としているチームとの対戦で、ひとつでも勝っていたら、その後のムードはまるで違ったものになっていただろう。そうした運のなさも、今の巨人というか、由伸監督には感じられた。
ただ運というのは、自分で呼び込むものでもある。そこで問われるのが、選手の起用法であり、采配だ。戦力が整っていれば、誰が監督でも勝てると言われる。それはちょっと極端にしても、要は、負けが込んだときにどうやってしのいでいくか。いわば「危機管理」が監督の最大の見せ場だと言っていい。
《ところが、コーチなど指導者としての経験がないと、采配をふるうにしても、その"引き出し"そのものがない。その点、高橋監督は現役を引退して、すぐに監督という座に就いてしまった。》
監督になってまだ2年目だから......というのはあるけど、持って生まれた性格や、置かれていた立場によっても変わってくる。私はよく、日本ハムの栗山英樹監督と比べるのだが、彼も引退後に解説者の仕事はしていたものの、コーチ経験ゼロで監督に就任し、いきなりリーグ優勝を達成した。昨年も日本一に輝くなど、しっかりしたチームづくりをしている。
では、由伸監督と何が違うのかといったら、"気配り、目配り"の部分である。栗山監督はヤクルト時代の教え子だからよく知っているが、監督になってもまったく変わらない。若い選手や裏方などに接するときも、上から目線で言うのではなく、相手の立場に下りて話す。
一見、当たり前のように映るが、実は簡単なことじゃない。それだけプロ野球の監督というのは、ちやほやされる職業というわけだ(笑)。
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