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BC新潟のトルス投手が熱投アピール (5ページ目)
2014年シーズン、トルスは20試合に登板して8勝を挙げる活躍を見せる。奪三振数は投球イニング数の97回2/3を超える109を記録した。防御率3.22は少し物足りないようにも見えるが、狭い球場で打高投低が著しいこのリーグの事情を考慮すると、決して悪い数字ではなかった。
翌2015年シーズンからは、2A級とも称される独立の名門、アメリカン・アソシエーションに移籍。ここでメキメキと頭角を現す。しかし、多くの選手が口を揃えるように、20代後半を迎えた外国籍の選手と契約するメジャーの球団はほとんどない。傘下のマイナーリーグのチームはあくまで若手選手の育成の場であり、ビザ枠の関係もあって、トップチームでも通用するような即戦力でもない限り、契約を勝ち取るのは至難の業だ。
そんなとき、トルスの耳に入ったのが日本の独立リーグ行きの話だった。いきなりNPB球団との契約はできなくても、スカウトが頻繁に足を運ぶようになった独立リーグでプレーすれば、チャンスはあるかもしれない、とトルスは聞いた。
今年の5月5日、トルスを見に長野県小諸市の南城野球場に足を運んだ。この試合でもトルスは信濃グランセローズ相手に見事なピッチングを披露した。
序盤から力のあるストレートが低めに決まり、独立リーガーたちはまったく歯が立たない。さらに、変化球とのコンビネーションも素晴らしかった。力勝負を好むオーストラリア人には珍しく、初球から変化球でストライクを取る術(すべ)を知っているし、追い込んでからもためらうことなく決め球に変化球を使っていた。持ち球は、ストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームと、実に多彩だ。それでも「自分の一番いい球はストレート」と言うところに、投手としての矜持を感じる。
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