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なぜ藤浪晋太郎のボールは荒れるのか?
暴れるメカニズムを分析 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「1年目に成績がよかった新人が、2年目に成績を落とすのはなぜか。特に、投手に感じていたのが、『2年目は何かを変えないといけない』『昨年と同じじゃいけない』と思い込み、体を変えたがる選手が多いこと。それによってバランスが崩れ、自ら調子を落としていくケースが多い。体を変えると、思わぬところに影響が出ることがあるんです」

 山口氏の阪急時代の先輩でもある山田久志氏からも、同様の話を聞いたことがある。

「最近の投手は器具を使ったトレーニングを積極的にやるし、プロに入ると2、3年で体が見違えるほど大きくなる。プラスの効果はもちろんあるだろうけど、僕らの感覚からしたら怖い。よくあれだけ思い切って体を変えられるな......と。体が変われば、当然投げる感覚も変わるわけだから」

 往年の大投手・300勝左腕の鈴木啓示氏は、現役時代にグラブのなかに鉛の小さな板を入れることでフォームのバランスを微調整していたというエピソードを持つ。それだけピッチングは繊細な作業だということだ。これは時代を超えても変わることはない。

 ただ、藤浪も新たなる挑戦によって生まれた肉体と感覚のズレは、当然理解しているはずだ。だからこそ、これからどう"次"へつなげていくのか。試合での登板を重ねるなかで感覚をつかみ、どこまで自分のものにしていくのか。藤浪の登板から目が離せない。

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