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なぜ藤浪晋太郎のボールは荒れるのか?
暴れるメカニズムを分析 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨年まで阪神で投手コーチを務めた山口高志氏にWBC直前、藤浪について話を聞いた。藤浪の好不調の見極め方を聞いた際、山口氏は次のように語っていた。

「たとえば、左バッターのアウトコースのストレートが指にかかって決まる。あるいは、浮き上がるぐらいのときはいい。それが打者から逃げるように、僕らは"吹き抜ける"という表現を使うんですが、その球筋だと今日は難しいなと......。高低がぶれるだけなら、スピードがある分、バッターも手が出やすい。それが打者から逃げていく球は手を出さないですから。そうなると苦しくなる」

 今年はこの"吹き抜ける球"が右打者に対しても出るため、よりばらつきが激しい。今季初登板でヤクルトの畠山和洋に死球をぶつけ、乱闘の原因となったのもこの球だった。

 ただ、藤浪にとって悩みの種でもあるこのボールは、打者にとっても厄介な球になっている。150キロ前後でこれだけボールが荒れれば、打者も恐怖心が芽生え、容易には踏み込めない。結果として、藤浪を助けているのは確かだ。

 バレンティンなどはフェイスガードをつけ打席に立ったが、投球に対してまったく踏み込めず、腰が入らないスイングを続けた。

 素朴な疑問として、プロ5年目に「どうして?」と思う人もいるだろう。そこに藤浪ならではの難しさがあると想像する。

 先日、藤浪の母校である大阪桐蔭の西谷浩一監督と話していたときだ。甲子園で春夏連覇を達成した当時の藤浪について、西谷監督はこう述べた。

「とにかく練習でもよく投げていました。投げて、投げて、調子を上げていくタイプ。俗に言う"投げたがり"です」

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