「プロ野球のボブルヘッドは似てない」と文句言ってたら呼び出された (2ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi
  • Sportiva●写真

「来るなら来てみろ、返り討ちにしてやる!」とケンカ腰で臨んだミーティングだったが、そこにいたのは穏やかな表情で微笑む3人の男女。しかし、これは罠だ。油断してはいけない。3人の刺客は、ボブルヘッド開発を手掛けるO.S.M.取締役の伊達泰三氏、女性ファン代表・最所麻美さん、そして「近々、新たなボブルヘッドを作る予定」だという北海道日本ハムファイターズ・川尻裕一氏。さらに、パ・リーグ6球団が出資して誕生したパシフィック・リーグ・マーケティング(PLM)の面々が僕らの周囲を取り囲んでいる。

(卑怯者め。寄ってたかって、オレを叩きのめすつもりか......)

 かくして、「緊急ボブルヘッド会議」は始まった──。

袋叩きに備えて戦闘モードで現れた長谷川氏(左)に対し、ボブル制作の現実や苦労を諭すように説く伊達氏袋叩きに備えて戦闘モードで現れた長谷川氏(左)に対し、ボブル制作の現実や苦労を諭すように説く伊達氏


 最初の議題は「ボブルヘッドはもらって嬉しいのか?」。この問いに関する僕の答えは明確だ。「嬉しいに決まってる!」。そこで、僕は自分の思いを披露する。

「各球団とも来場時プレゼントが充実しているけれども、特にボブルヘッドは立派な箱に入っていて、重量感もあり、家で飾れるという利点もあり、僕は大歓迎。ぜひ、各球団にもっと採用してもらいたい!」

 この会議の席上、メジャーリーグにおける来場時プレゼント、いわゆるギブアウェイ(giveaway)は「Tシャツかボブルヘッドがダントツで多い」のだと知った。アメリカでは「ボブルヘッドカルチャー」が定着しているが、日本ではまだまだ「ボブカル」は定着には至っていない。伊達氏によると、その理由は、アメリカの広大な住宅事情ではディスプレーするスペースも潤沢であり、そもそも「飾って見せる」という文化が根強いからだという。すると、最所さんは「仕事場のデスクにも飾れるように、もう少し小さくてもいいのでは?」と提案。なるほど、僕にはその考えはなかった。さすが、女性目線だ。

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