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韓国、キューバの凋落と意外な新興国。
WBCに見る世界の野球勢力図 (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 躍進するチームがある一方で、凋落著しいのがキューバだ。2004年にはアテネ五輪で金メダルを獲得し、2006年の第1回WBC、2008年の北京五輪で準優勝。しかし、これを最後に国際大会の主役の座から降りることになる。

 皮肉なことに、プロの参加が許された国際大会で、キューバの選手たちは自らの技能の"相場"を知ってしまった。以降、有望選手の亡命が相次ぎ、チームの弱体化は加速していった。キューバ政府は当局管理のもとで、選手の国外プロチームへの派遣を認めるようになったが、今後もフリーハンドでの契約を目指しての"亡命"は続くだろう。今大会のロースターの平均年齢の高さ、そしてイスラエル戦でのコールド負けは、その現実を如実に物語っていた。

 これまでのラテンアメリカの野球勢力図は、キューバとドミニカがツートップを占めていた。前回優勝のドミニカも、今大会ではキューバ同様、2次ラウンドで敗れ去っている。これがただの偶然でないことは、事実上の代表チームで行なわれるウインターリーグの国際大会であるカリビアンシリーズの成績でもわかる。ドミニカは2000年代に入ってから6度チャンピオンに輝いているが、ここ5年は優勝から遠ざかっているのだ。

 この2強に取って代わるようにして台頭してきたのが、プエルトリコとオランダだ。

 プエルトリコは2大会連続してWBC準優勝に輝き、今大会は決勝戦でアメリカに敗れるまで7連勝を飾った。アメリカ自治領という立場から、人材の流出に悩まされウインターリーグは年々縮小されているものの、アイデンティティの強さはナショナルチームへの忠誠心を醸成している。

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