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「今年ダメならその先はない」。
泥だらけのプリンス・堂林翔太の覚悟 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そういった意味で、2016年シーズンはひとつの転機だったかもしれない。ルナの加入や安部友裕の台頭などにより、さらに出場機会を減らした。それでも我慢の1年と位置づけたシーズン。一軍に呼ばれない日々が続いても、自分を見失わなかった。目の前の結果ばかり追わず、その先にあるゴールを見つめ、黙々とバットを振ってきた。

 成果は昨季終盤に表れた。フリー打撃時の打球の軌道が変わったのだ。シーズン中盤までは右方向への打球はすべてこすったようなスライス回転でファウルゾーンへ失速していたが、シーズン終盤になると右方向の打球が真っすぐ飛び、そして伸びるようになった。

 石井琢朗打撃コーチはシーズン終了後、堂林の変化をこう説明した。

「チーム事情もあって打席に立たせる機会は少なかったけど、シーズン終盤から打撃はよくなっていた。2017年は、昨年戦力になり切れなかった選手が伸びてくれないといけない」

「継続力」が堂林を変えたのかもしれない。強化指定選手に指名され、朝8時から基本的な体の使い方を徹底的に叩き込まれた秋季キャンプでも、シーズン中からの取り組みを継続し、打撃内容はグンと上がった。堂林の変貌に、緒方孝市監督は打撃コーチ陣を呼び寄せ、期待を口にしたという。

 自分が正しく、定めたゴールへ進むため、ベテランに先導役も願い出た。シーズン中、堂林は何度も新井貴浩のもとへ、シーズンオフの弟子入りを志願し続けたのだ。この師弟関係はある意味で必然だったのかもしれない。

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