独立リーグの「牛飼い球団」に、なぜマニー・ラミレスが来ちゃうのか (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Kochi Fighting Dogs

 今シーズンで45歳になるが、アメリカのあるサイトでは、彼の活躍に太鼓判を押している。たしかに5年前の台湾での好成績を考えれば、台湾プロ野球よりレベルの落ちる日本の独立リーグで再び旋風を巻き起こすことは十分に期待できる。本人も「ずっとトレーニングを積んでいた」と言い、体は見事に引き締まっていた。

 不安があるとすればマニーの報酬だ。球団サイドは「思ったよりも安い額で合意できた」と言うように、これまでNPBでも考えられない高額な報酬を手にしてきた彼が、薄給で知られる独立リーグのギャラに我慢できるのだろうかという疑問が湧く。

 そもそも、なぜマニーは四国を選んだのか。その答えのヒントは、彼の故国・ドミニカにあるのかもしれない。ドミニカでは「男の子はバットとボールを抱えて生まれてくる」と言われるほど、野球が盛んな国だ。男の子が野球をするのは、この国では呼吸をするのと同義なのである。

「野球がしたかった」

 マニーは"現役復帰"の理由をシンプルにこう語る。そもそも彼にとって、今回のことは現役復帰ではないのだ。2年前のオフにカブスから指導者の打診を受け、これを了承したが、彼はひと言も「引退」の二文字は口にしていない。体が動く限り、受け入れてくれるチームがある限り、フィールドでプレーするのはドミニカンにとって当然のことなのだ。

 メジャーの舞台からは去ったものの、その後、数年の歳月を経てマイナーやウインターリーグで現役復帰を果たすドミニカンを数多く見てきた。マニーにとっては、その場所がたまたま四国であったにすぎない。

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