ドラフト「強行指名」はなぜ起きるのか。履正社・山口のケースを追う (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 ちなみに調査書とは、当該選手の詳細な経歴や3年間の成績、性格などを書面化したものだ。規定はないが、選手に関心の高い球団は、意思表示的な意味も含め、学校側に提出を求める流れがある。また面談とは、普段、選手との接触が禁じられている球団関係者が、学校側に申し入れ、ドラフト前に選手と会話ができる場だ。

 今回、調査書の提出を求めた11球団のうち数球団が面談を希望し、日本ハムも行なった。そうした流れがあった中での日本ハムの6位指名だったのだ。

 ドラフト当日、寺島がヤクルトから1位指名を受けるなか、山口の名前は3巡目を終えても呼ばれなかった。それまでに指名があれば寺島と一緒に胴上げなどの予定があったようだが、指名がなかったため、4巡目の指名がはじまったところで寺島の胴上げだけが行なわれた。その様子を眺めながら、岡田監督に山口の話を聞いた。

「昨日もいくつかの球団のスカウトから最終の問い合わせの電話をいただきました。4位なら可能性があるという球団があり、山口にも最後の確認をしたんです。それでも本人の意思は変わらないので『わかった』と。スカウトの方にもお伝えしました。これから社会人でしっかり鍛えてもらって、プロを目指してほしい。まだまだ伸びる子ですし、期待しています」

 ところが、寺島の胴上げが終わり、報道陣も引き上げの準備を始めた矢先、突然、あちこちから声が上がった。「山口6位!」「指名や!」。急遽、さっきまで寺島の会見が行なわれていた部屋に戻り、山口の会見が始まった。

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