91年V戦士が語る、カープ優勝を決定づけた黒田・新井と若手の関係 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

「田中と話をしたとき、本人が1番に対する意欲をすごく持っていました。走塁に関しても、決して足のスペシャリストではないけど、意欲的に取り組み、30個近い盗塁を決めた。そのあとを打つ"キクマル"コンビも今季は好調を維持。上位の3人が揃ったことが大きかったですね」

 現役時代は自らもその役にあった山崎氏は、攻撃の流れをつくる1、2番の重要性を熟知している。スピード感のある3人を上位打順に配した結果、盗塁数は9月10日の時点でリーグトップの109個(2位のヤクルトに35個差)を記録している。山崎氏は言う。

「今年のカープの攻撃を見ていると、相手が最も嫌がる1、3塁のケースが本当に多かった。この3人が今年のカープ打線を象徴していると言っても過言ではありません」

 続けて山崎氏が挙げたのは、ふたりのベテランだ。現在40歳の黒田博樹と39歳の新井貴浩。この投打の太くて強い柱が、今シーズンのカープを語る上で欠くことはできないと、山崎氏は言う。

「このふたりがチームの中心にしっかり立っているから、若手や中堅の選手がノビノビと自分の仕事ができる。手本となり、頼れるベテランがいることは、チームに有形無形の力を与えてくれます」

 では、具体的にどのような効果があったのか?

「投手でいうと、若い選手は勝つために常に100の力を出して完璧を求めようとする。でも、状態のいいときばかりではありません。そのなかでどう試合と向き合い、戦っていくのか。こういったところを若い投手たちは、黒田を見て学んだのではないでしょうか」

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