カープの戦友たちが語る「日米通算200勝」黒田博樹のすごさ (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 古くから黒田を知る東出輝裕一軍打撃コーチは言う。

「本当に自分の白星はどうでもいいと思っている。チームの優勝のことしか考えていない。そこがすごいところですね」

 黒田にとっては日米通算200勝もただの通過点にすぎないのだろう。その先にある大きな目標こそが、41歳の黒田を支えている。黒田は言う。

「同じしんどいことでも、今はやっていてやりがいがある。気持ちを奮い立たせてくれるのか、体は動くし、なにより充実感がある」

 最大のモチベーションは、25年ぶりの優勝だ。メジャー球団からの好条件のオファーを蹴ってまで、広島復帰を決めた。あの日の思いが、黒田を突き動かしている。

「クロ(黒田)はいつもチームの勝利のために投げてくれるし、言葉でもそれを発信してくれている」

 緒方孝市監督も黒田の"フォア・ザ・チーム"の姿勢を称える。

  無名の投手から広島のエースにまで上り詰め、海を渡ってもエースと呼ぶにふさわしい投球を続けてきた。日本に復帰しても、若手の鑑(かがみ)となるような 立ち居振る舞いで "生きた教材"としてチームメイトに様々な影響を与えてきた黒田。切望してきた歓喜のときは刻一刻と近づいている。

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