カープの戦友たちが語る「日米通算200勝」黒田博樹のすごさ (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 四六時中、野球のことばかり考えている。大投手となった今でも、球団関係者が「登板2日前には気安く話しかけられる雰囲気じゃない」と言うほどだ。プロ入りしてから20年、そうした積み重ねが黒田という投手を創り上げてきたのだろう。

 長くバッテリーを組んできた倉義和選手兼任二軍バッテリーコーチは、黒田について次のように語る。

「やると決めたことを徹底できる人です」

  勝てる投手となるために大きな目標を掲げ、愚直なまでに突き進む。その過程において、努力を怠らず、貫き通してきたからこそ今がある。40歳となった昨季 も「気持ちだけで勝てる世界ではないが、気持ちがなければ勝てない世界」とも言っていた。今でもそのスタイルは変わらない。

 立場が変われば、見方が変わることもある。広島の初優勝を知るベテランの福永富雄トレーナーは、黒田のすごさについて「体の強さ」を挙げた。

「あの年齢になってもあれだけ追い込むことができるのはすごいこと」

 技術向上のための投げ込みも、一切の妥協を許さないトレーニングも、強靭な体力がなければできないことだ。

 心と体という大きな土台の上で技を磨き、投手として成長を遂げてきたのだ。

  だが40歳を超え、今季も首回りのしびれや右肩痛で一度、選手登録を抹消されたように体は満身創痍。150キロを超すストレートで押し込んだ20代の頃の ような勢いはもうない。代わりに、その日のコンディションのなかで最大限のパフォーマンスを発揮する術を身につけ、球質の改良や制球力の向上、さらに打者 との駆け引きでアウトを重ねてきた。

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