都立高から初の球宴。ヤクルト秋吉亮はタフな「でんでん太鼓」 (4ページ目)
その原因を辿っていくと、2つのポイントがあるようだ。
秋吉は自身のフォームについて「腕は開いていますけど、肩は開いていません」という。左ヒジからグラブにかけては開いていても、左肩で開きを抑えているから問題ないというのだ。登板後、秋吉は右投げにもかかわらず、左肩が張ることもあるという。
そしてもうひとつ。秋吉の「手首の使い方」に秘密があった。
「僕はリリース時の手首と、ちょっとした体の向きでボールをコントロールしています。右バッターのインコースなら、体をちょっと開いて、手首を少しシュートぎみに効かせて投げる。アウトコースはボールの握りの間隔を狭めて、手首を外のほうへ効かせる。これだけです」
つまり、インコースもアウトコースも同じリリースポイントで投げ分けているということだ。サイドスローの投手に多いのが、「ボールを短く持てばインコー ス、長く持てばアウトコース」というように、リリースポイントを変えることでコントロールをつける方法。この投げ方だと、リリースした瞬間に打者はある程 度、コースを予測することができる。だが、秋吉の投げ方では、バッターはリリースの瞬間ではボールがどのコースに来るか予測できない。しかも、秋吉は同じ リリース地点からスライダーやチェンジアップなどの変化球まで投げてくるのだ。
今春3月、侍ジャパンに招集された秋吉は、チャイニーズタイペイ戦に登板。1イニングを投げ、3者連続三振を奪っている。チャイニーズタイペイの打者が秋吉のボールに、まったくタイミングを取れていないことがうかがえた。
4 / 6