「伏兵」さえも恐るべし。城所龍磨の爆発に見るソフトバンクの競争原理 (4ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 アーリーワークに関しては、城所以外にもいつも10人近い選手がグラウンドに出てくるのがソフトバンクでは日常になっている。松田宣浩や中村晃といったレギュラー陣の姿はほぼ毎回見かける。柳田悠岐も時折姿を見せるし、本多雄一や高谷裕亮ら実績豊富な選手も若手に混じって汗を流す。そうなれば、レギュラーを獲りに行く若鷹たちが手を緩めるわけにはいかない。

「まずはチーム内に競争があることが、ホークスの強さだと思っています。仲間だが、ライバル。そこに勝たないと試合に出ることができない」(工藤公康監督)

 だから、ソフトバンクはレギュラー外の選手たちのレベルもどんどん高くなっていく。交流戦18戦中12試合に二塁手でスタメン出場したのは6年目の牧原大成だった。もともとは育成ドラフト6位で入団した選手が本多との競争に勝ち、故障離脱中の明石健志や川島慶三の穴を埋めているのだ。

 開幕時にはスタメンではなかった鶴岡慎也もここ最近は先発マスクに定着している。6月10日の巨人戦(ヤフオクドーム)では難敵の菅野智之から終盤の8回に決勝犠牲フライを放ち、2対1の勝利に貢献してヒーローになった。さらに遡れば、5月7日の楽天戦(ヤフオクドーム)では高田知季が決勝打を放ってお立ち台に上がった。

 投手陣でも現在5勝0敗、防御率2.08で先発ローテーションの一角に入っている東浜巨や、150キロを超す剛速球を武器にセットアッパー入りしたスアレスは開幕二軍スタートだった選手たちだ。

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