2016.05.18

不器用な男、ロッテ細谷圭がたどり着いた「11年目の打撃開眼」

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • photo by Kyodo News

 5月15日の楽天戦(QVCマリンフィールド)だった。4-5と1点ビハインドの6回、二死満塁でロッテの細谷圭は2ボールからの3球目を積極的に振って出て、代打逆転満塁本塁打をセンター越えへと運んだ。3年ぶりの一発は、プロ初のグランドスラム。その後、チームは一時追いつかれながらも、乱打戦の末、延長11回にサヨナラ勝ちを飾った。

5月15日の楽天戦で代打逆転満塁本塁打を放った細谷圭

 堂々と主役を張った細谷は「ストレート一本に絞っていた。みんながつないでの攻撃だったので、自分もその流れを切らさないように次につなぎたかった。今までのホームランとは違う感じがした」と、手に残る心地よい感触の余韻を楽しんだ。

 今季、細谷は最高の滑り出しを見せた。開幕4戦目の楽天戦で初先発して2安打を放つと、翌日から3試合連続で三塁打を放ち、パ・リーグ記録に並ぶ。4月7日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では6打数5安打5打点の大当たりで、「球も見えている」と好調を実感。一時は名だたる強打者たちを抑え、打率ランキングでリーグトップに立つ躍進を見せた。

「いい意味で何も考えずに打席に入れていた。すべてがうまく回っていた」

 開眼のきっかけは、打撃の軸ができたことだ。昨季から、バットの振り出しの意識を大きく変えた。感覚を的確に表現することは難しいが、本人の言葉を借りると「ボールの後ろからバットを入れていくイメージ」だという。上からたたいても、下から振り上げても、ピッチャーから向かってくるボールを捉えようとすると、接点は「点」になる。これを変え「線で打つようにしている」とボールの軌道と水平に近い形でバットを出し、球をミートする確率を上げようとした。