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オリックス・金子千尋「846球」に込められた今季に懸ける思い (2ページ目)

  • 波佐間崇晃●文 text by Hazama Takaaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 4月16日の西武戦では、7回まで3失点と試合を作ったが、1点リードの8回につかまり、一死満塁から上本達之に同点打を浴び降板。右ヒジの手術後、最多となる141球の熱投も勝利の女神は微笑んでくれなかった。

 4月23日のロッテ戦は、3回に1点を失い先制されるが、7回に味方が同点に追いつくまで追加点を許さず踏ん張った。だがその後、打線がロッテのエース・涌井秀章を打ち崩すことができず、金子に勝ち星をつけることはできなかった。

 2014年に沢村賞の栄誉を手にした不動のエースは苦しみ、もがいていた。4月は一軍定着後、行なうことがなかった登板前のブルペン入りを実施。「肩やヒジは消耗品」と考える金子だけに、この行動には正直驚かされた。

 ブルペン入りした理由は不安を払拭するためだったようで、事実、四死球は7、5、4、3、2、0と減らしていった。特に4月30日の楽天戦での無四球完封勝利は、2014年9月10日(楽天戦)以来だった。

「ボール先行になっても、気持ちに余裕が持てていた。これまで迷惑をかけた分、これからやり返していきたいと思います」

 その言葉通り、5月6日のロッテ戦も132球の熱投で8回を無失点に抑え、自身2連勝。チームも金子の今季初勝利以降、4勝1敗と勢いをつけて借金を3まで減らし、3位の日本ハムに0.5ゲーム差まで迫った。

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