2016.04.23

黒田博樹が若手投手たちにマウンドから贈る「無言のエール」

  • 前原淳●文 Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 思わず、天を仰いだ。黒田博樹は4月16日の巨人戦で日本復帰後最多となる6失点を喫した。初回から3回まで毎回得点。そして5回にも1点を失い、この回でマウンドを降りた。1週間前、左足に打球を直接受けたことで十分に走り込めなかった影響もあるだろう。マウンド上で何度も首をかしげるなど、苦しみがにじみ出ていた。

「やっぱり、引退した方が楽なんですよね」

今年2月で41歳になった黒田博樹

 昨年オフの契約更改後に、黒田がふと漏らした言葉がよぎる。開幕から15試合。チームトップの2勝を挙げ、4月2日の巨人戦では日本で3226日ぶりとなる完封勝利も飾った。前田健太の米大リーグ移籍によって不安視された広島投手陣の大黒柱としての存在感は際立っている。

今年2月に41歳になった。プロ野球選手にとって資本ともいえる肉体面の衰えは否定できない。

「この年齢になって、この体でもう1年野球をするというのはしんどいこと」

 黒田自身、現役続行を決めたときから覚悟していたことだった。それでも再びユニホームに袖を通し、マウンドに上がることを決めた。

「逃げようと思ったら逃げていたのかなと思いますけど……でも、やるしかなかった。モチベーションを探すということは、どこかでやりたい、やらないといけないという気持ちがあったのかなと。それが最後の結論ですかね」

 広島でプレーすることに、使命と意義を感じていた。