解説者・森本稀哲がビックリ「オコエ選手は......すごい!」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro寺崎敦●取材協力 cooperation by Terasaki Atsushi

森本稀哲インタビュー(後編)

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 それは、聞いている人間をもたじろがせる、強い口調だった。

「全力疾走で『もたない』って選手は、やめたほうがいいですよ」

 2015年限りで17年間の現役生活に終止符を打った森本稀哲は、今年から野球解説者に転身した。精力的に各球団キャンプを巡って取材していた森本に、解説者としてのプロ野球展望を聞いていた際、その言葉は発せられた。

解説者として第二の人生を歩くことになった森本稀哲解説者として第二の人生を歩くことになった森本稀哲

 森本は2月に古巣・日本ハムのキャンプを見るために、米国・ピオリアに飛んだ。森本がチームに在籍したのは2010年までで、当時とは選手の顔ぶれも違う。「どの選手がどう取り組んでいるのか?」という視点でキャンプを見たという。

 日本ハムのキーマンは、中田翔と西川遥輝。森本はそう見ている。中田は若いチームの精神的な支柱。そして西川には、西武時代から「敵としてイヤだった」と注目していた。だが、同時にこんな思いも抱いていたという。

「西川選手が元気だと、相手として一番イヤでした。でも、彼は好不調の波に左右されるきらいがありました。悪いときは、あっさりあきらめてしまう。これは相手にとってはラクなんです。試合が決まってしまいますから。でも、調子がいいときの彼は、もう手がつけられないようなプレーをする。だから本当にもったいないと思っていました。彼が悪いときも常に全力で走ってくれれば、相手チームにとってすごくイヤなプレッシャーを与えることができます。これは、中田選手にも言えることですね。まだ若いんだし、もっともっと泥にまみれてやってほしいんです」

 苦しいときこそ、人間の力が現れる。悪いときこそ、チャレンジする。それは森本が現役時代に実践してきたことだった。

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