補強選手からドラフト候補へ。教習所教官・信楽晃史の指名はあるか? (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 社会人では一念発起し、忙しい社業の合間を縫って自主練習に励むようになったという。ウエイトトレーニングで下半身を鍛え、食生活も見直した結果、体重は8キロアップ。技術的にはテークバックをややコンパクトにしたことで、肩・ヒジに負担のかからないフォームに改善された。ストレートは今までよりも重みを感じるような球質になり、苦手だった変化球もスプリット系のツーシームを決め球として使えるようになったという。

 そして迎えた今年6月の都市対抗九州2次予選。信楽は目を見張る投球を見せる。元プロ打者を2人擁する三菱重工長崎に惜敗したものの、1失点完投。さらに熊本ゴールデンラークス、西部ガス(福岡)と、九州屈指の強豪チームを相手に、好投を見せたのだ。都市対抗本戦への出場は惜しくも逃したが、この結果が認められ、九州第1代表のJR九州から、いの一番に指名を受けた。

「まさかのまさかでした。大学時代の指導者からも『まさかやなぁ~』と驚かれました」(信楽)

 九州の社会人野球界を代表する名門・JR九州。補強選手としてチームに参加したのは約3週間だけだったが、得たものは計り知れなかった。信楽は言う。

「ベテランの方でも練習では一切手を抜かずに、若手と同じメニューをこなすし、練習に対する厳しさを感じました。吉田(博之)監督からもフォームについてご指導いただき、今まで自分が知らなかった世界を見せてもらいました」

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