14年ぶり優勝。ヤクルトの選手たちを動かした「真中イズム」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 春のキャンプが始まると、真中監督は"選手の自主性"を大きなテーマとして掲げた。

「与えられた練習をすることも、コーチから手取り足取り教えてもらうことも大事です。でも、それだけだとスランプになった時や試合中に厳しい場面に出くわした時、その壁を乗り越える力がつきません。自分で悩んで解決しない限り、前に進めない。まずは自分で考え、それでも解決できない時にコーチや監督に助言を求めるというのが理想です」

 そしてシーズンも終盤に差し掛かった8月の終わりに、真中監督に"選手の自主性"についてあらためて聞くと、こんな答えが返ってきた。

「自主性に任せるということは、自分で考えて練習するということで、実はいちばんきついことなんです。でも、選手たちを見ていると効果は出ていると思います。ちゃんと自分たちで考えて、試合をつくっていますよね。たとえば、川端や山田はポジショニングを自分たちで考えているし、捕手の中村も野手に対してしっかり指示を出している。それこそが自主性ですよね。だから、咄嗟の判断が必要な時でも落ち着いてプレーできている。与えられたメニューだけこなしていると、どうしてもコーチからの指示を待ってしまいます。そういう意味で、今年1年、選手たちはすごく成長したと思います」

 三木肇作戦兼内野守備・走塁コーチも、選手たちの"自主性"について次のように語る。

「自主性が身につくと、それが"協調性"となって現れてきます。チームとしての目指す方向性が明確になり、選手たちは『チームのために何をすべきなのか。そのためにどんな練習をすればいいのか』を考え始めます。今の選手たちを見ていると、それができるようになりましたよね」

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