2015.07.02

失われたスピードを求めて。楽天・安樂智大「剛腕」への再挑戦

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

高卒ドラフト1位たちは今~楽天・安樂智大

 安樂がおかしい……。

 5月14日、ゴールデンルーキー・安樂智大(楽天)は、本拠地であるコボスタ宮城でのイースタンリーグ・日本ハム戦でプロ初先発した。高校時代に最速157キロをマークしたストレートは143キロ止まり。しかも、ほとんどが130キロ台だった。

「徐々にスピードは戻りつつある」と語る、楽天ドラフト1位ルーキーの安樂智大

 その数字以上に気になったのが、安樂のトレードマークであるダイナミックさが影を潜めていたことだ。グラブサイドの腕を強く、大きく掲げる特徴的な動きも、以前のような推進力が感じられず、ただ高校時代のやり方をなぞっているだけのように見えてしまう。2回1/3を投げて被安打3、奪三振1、失点1という結果以上に、今後に不安を残す先発デビュー戦となってしまった。

 この日、日本ハムの1番打者として出場し、花巻東高(岩手)時代にも甲子園で対決したことがある岸里亮佑は言う。

「高校時代は単純にスピードがありましたし、スライダーも他のピッチャーよりキレがありました。僕が対戦した時、彼はまだ2年生でしたけど『プロに行くんだろうな』という目で見ていましたね。プロに入ってからは調子が悪いみたいなんですけど、自分で考えてピッチングをしているのだと思います。調子が悪くてもある程度抑えられてしまう……というところに、力を感じます」

 高校時代はスピードがあった――この言葉に安樂の現状が透けて見える。この日、岸里は2打席目に安樂のストレートを引っ張って、一、二塁間を破るヒットを放った。

「高校時代のイメージなら差し込まれるか、センターからレフト方向に飛んだのかなと思います。彼本来のスピードが戻れば、そうそう引っ張れるボールはないでしょうから」