2015.06.01

「4番・坂本勇人」に込められた、原監督の特別な思い

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 巨人・坂本勇人が巨人軍の第82代4番打者に指名されたのは、4月11日のヤクルト戦のことだった。事前に伝えられていたわけでなく、本人も驚きを隠せなかった。

「自分でもびっくりしました。高校の時以来ですね。4番打者という意識はなく、4番目の打者という感覚で挑みたいです」

巨人軍第82代4番に任命された巨人・坂本勇人

 試合前にそう語っていた坂本だったが、それまでの打率は.245と高いわけでなく、決して調子がいいわけでもなかった。原辰徳監督は「現状でベストのオーダーを組んだ」と言うが、坂本を4番にした理由については語られなかった。

 坂本を4番で起用した理由はいくつか考えられる。ひとつは、現状で4番に適した打者がいないことだ。開幕は、昨年チーム最多の57試合で4番を打った阿部慎之助が任されたが、体は満身創痍のうえ、当初は一塁で起用する予定だったのが相川亮二のケガにより捕手に復帰。これ以上、負担をかけたくないという原監督の思いで4番を外した。

 また、4番として経験豊富な村田修一や長野久義も、「個々の能力はまだまだ上がってくると思います」と原監督は期待するが、4月26日のヤクルト戦では揃ってスタメン落ちするなど、本来の力を発揮できずにいる。

 そして何より、原監督が「4番・坂本」にこだわる理由は、「本当の意味で巨人を背負う存在になってほしい」からに他ならない。原監督も現役時代は巨人の4番として相手チームから徹底マークにあい、負ければ容赦ないバッシングを受けてきた。それでも強い気持ちで戦い続け、長い間、チームの顔として巨人を牽引してきた。原監督は言う。