防御率１点台！　ヤクルト投手陣「覚醒」の秘密に迫る (4ページ目)

「簡単にストライクを取っていい場面で、簡単にストライクが取れるようになってきました。そのことでピッチングがすごく楽になりました。昨年はリリーフの感覚を引きずってしまって、簡単にストライクを取っていい場面でも慎重になりすぎていたんです。あと、技術的にはシュートを覚えたことが大きいですね。僕は変化球が少ないので的を絞られることが多かったのですが、球種がひとつ増えるだけで打者の反応がまるで違うんです」

　高津コーチは、石山と杉浦のふたりをこう見ている。

「石山は先発として、登板しない日の６日間の過ごし方とか、少しずつ理解してきたように見えます。まだ慣れていない部分はありますが、成長を感じています。杉浦は、まさに昨年の石山の状態ですかね。最後のひと押しが足りない。打者の目が慣れてくる３回り目でもうひと踏ん張りですね。そこを乗り切れるようになれば、一気に化ける可能性は十分にあります」

　そして石川はここまでの好結果について、こうも語る。

「守備があっての今の好成績だと思います。野手が取れるアウトをしっかりと取ってくれて、キャッチャーの中村悠平が本当にいいリードをしてくれています」

　そういえば、今年のキャンプで真中満監督がこんなことを言っていたのを思い出した。オフにベテラン捕手の相川亮二が巨人にFA移籍し、正捕手候補の中村悠平について聞いた時のことだ。

「相川が抜け、中村は逃げる場所がなくなったので、精神的に厳しいでしょうね。でも、そこを乗り越えてくれないと強いチームにはならない」

　その言葉を中村に伝えると、「自分の出来が、チームの勝敗を左右すると思う」と表情を引き締めた。