防御率1点台! ヤクルト投手陣「覚醒」の秘密に迫る

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ヤクルト投手陣の快進撃が止まらない。4月21日現在、20試合を消化してチーム防御率は1.73。12球団で唯一、1点台をマークしており、首位を走るチームの大きな原動力になっている。とにかく、これまでのヤクルト投手陣からは想像できないほど、見事なピッチングを見せつけている。いったい、ヤクルトの投手陣に何が起きているのか。

4月21日現在、セ・リーグ防御率トップのヤクルト・石山泰稚4月21日現在、セ・リーグ防御率トップのヤクルト・石山泰稚

 まずは、主なヤクルト投手陣の成績を見てみたい。

【先発】
小川泰弘...4試合/2勝0敗/防御率0.64
石川雅規...4試合/1勝2敗/防御率1.73
杉浦稔大...4試合/0勝3敗/防御率3.09
成瀬善久...3試合/1勝2敗/防御率3.00
石山泰稚...3試合/1勝1敗/防御率0.43
ロマン...4試合/1勝0敗/防御率1.04

【リリーフ】
中澤雅人...10試合/1勝0敗2ホールド/防御率1.35
徳山武陽...8試合/0勝0敗2ホールド/防御率1.08
秋吉亮...8試合/2勝0敗3ホールド/防御率2.08
オンドルセク...10試合/1勝0敗3ホールド/防御率2.79
バーネット...9試合/1勝0敗6セーブ/防御率0.00

 昨年は、この時期すでに投手陣は大崩壊の事態を招いていた。4月5日の阪神戦では、被安打20、四球8、失点15と大敗。さらに、4月16日の巨人戦からチームは9連敗を喫するのだが、この9試合の総失点は59。ちなみに、昨年4月21日時点のチーム防御率は5.95である。その後も先発、リリーフともに立ち直ることなく、結局、昨年のチーム防御率は12球団ワーストの4.62を記録した。

 ベテラン左腕の石川雅規は、昨シーズンをこう振り返った。

「負けが込むと、どうしても投手陣に余裕がなくなってきます。失点してはいけないと、厳しいコースに投げようとするのですが、制球力がないので四球が増えてしまう。今度は四球を避けようとストライクゾーンに投げ込むのですが、甘くなって打たれる。そういう負の連鎖が投手陣全体に伝染してしまった感じがします」

1 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る