広島OB高橋慶彦が語る「赤ヘル黄金時代と2015年のカープ」 (3ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro
  • 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

── 最近出された書籍『プロ野球 成功する人の条件』(株式会社KADOKAWA)の中で「いまはできないことばかりだけど、足を活かせばオレでもやれると思い込んだ」ということを書かれています。

「プロで成功するための条件のひとつは、素直さです。そして、ひとつの練習に打ち込むこと。私が入団した頃は、年俸がとにかく安かった。120万円から税金と道具代を引かれたら、ほとんど何も残らない。だから、練習するしかない。バットを短く持って単打狙いに徹し、高校時代に一度もトライしたことのない盗塁の技術を身につけました。素直に練習すると、少しずつうまくなる。うまくなったら嬉しいし、もっともっと練習するようになります」

── その甲斐あって、77年は58試合に出場し、打率.292、盗塁14をマーク。ところが、今度は古葉監督からスイッチヒッター挑戦を告げられます。

「古葉さんに『やるか?』と言われたら、『はい』と答えるしかありません。でも、左打席でバットを持ったことがなかったから、構えた瞬間『ん?』となりました。スイングは本当に不細工だった。私は10歳くらいで野球を始めて、21歳くらいのときプロで3割近く打てるようになった。『じゃあ、右で11年間振った分と同じ数を左打席で振ればいい』と考えました。とにかく時間があれば素振りをした。人間は自分で思っている以上に能力があるもので、そのうちにできるようになりました。きっと誰でもできるんです。でも、ほとんどの人が、しんどかったり、練習に飽きたりして途中でやめてしまう」

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