伝統の背番号8を継いだ日本ハム西川遥輝が目指す最強の1番 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「僕は1番でも2番でも、もちろん3番でも、打順は何番でもいいんです。ただ、今までは1番を打つならこういうバッティングをしなくちゃ、2番ならこう、3番バッターはこうだと、その違いを考えてしまっていた。でも今年は、何番を打つことになっても、まずは強いスイングをすることを大事に考えたい。強いスイングのできない僕は、魅力がないと思ったんです」

 キャンプで西川のベースランニングを見ていると、生まれ持ったセンスを感じさせられる。ベース一周をドタドタドタっと走る選手もいれば、タタタタタッと走る選手もいる中で、西川のベーランは足音が聞こえない。まるで忍者のごとく、スルスルスルッと4つのベースを駆け抜け、誰よりも速いタイムを叩き出す。そんなスマートな選手だから、バッティングも天才肌なのかと思いきや、「そんなわけないでしょ(笑)」と西川は否定する。

「僕、ものすごく考えるタイプなので、つい、いらないことまで考えて、深みにはまってしまうんです。たとえば続けて三振したりすると、『ああ、二打席連続で三振してしまった』と、あれこれ考えちゃうんですよね。もっと能天気にやれれば、3打席目にパーンと打てたりするかもしれないのに、そこをなかなか切り替えられない。こう見えて、苦労人なんですよ(笑)」

  西川が見据えているのは、1番を打ってサードを守り、全試合に出ること。それが叶えば、打率3割も盗塁王もついてくる。さらに言えば、相手に怖さを感じさせるだけの長打を打てる“強いスイング”をシーズン通して貫き、2ケタのホームランを打つ――そんなシーズンを過ごせれば、1年後、ファイターズの背番号8は西川遥輝のものになっているに違いない。

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