2015.02.09

8年ぶり広島復帰の新井貴浩が放つ、懐かしくも新鮮な光

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Nikkan sports

 阪神から8年ぶりに広島に復帰した新井貴浩は、宮崎・日南の懐かしい街並みを眺めると、「初心に帰ってやっていきたい」と決意を新たにした。古巣で勝負をかけるベテランは、春季キャンプで若手とともに汗にまみれている。

 久しぶりに着た赤いユニフォームも、背番号が「25」から「28」に変わったくらいで、違和感はまったくない。練習中はチームメイトと談笑し、守備練習やベースランニングではチームメイトが大きな声で新井を盛り上げる場面が幾度となく見られた。

キャンプ初日から精力的に練習に励んでいる新井貴浩

「あれは新井さんの人柄でしょう。いるだけでチームが盛り上がる。ありがたい存在です。いい雰囲気でできたと思う」

 かつて新井と三遊間を組み、キャッチボール相手でもある梵英心(そよぎ・えいしん)は新井の復帰を歓迎する。緒方孝市監督も「ずっと(チームに)いるような存在に思えた。周りの選手にすごく溶け込んでいて、不思議に思えた」と表情を崩す。”8年ぶり”という感覚は、本人だけでなく、チームメイトもなくなっていた。

 猛練習する姿も変わらない。キャンプ初日、入団当時の二軍守備・走塁コーチだった永田利則総合コーチに特守を志願。メイングラウンドのライト後方にある室内練習場は、下積み時代を知るふたりの空間となった。

 旧交を温めるかのようなノックの嵐。新井の額からは大粒の汗が滝のように流れていた。永田コーチが「大丈夫か?」と声をかけるも、新井は「大丈夫です。まだ本気出していませんから」と返すなど、自らギブアップすることはなかった。結局、同じ場所で特守を行なう若手選手がやってきたことでノックは終了。気がつけば200球を超え、時間も軽く1時間を過ぎていた。

 新井はキャンプ地入り前日の1月30日に38歳となった。広島の野手では、倉義和に次ぎチーム2番目の年長者。マイペースで調整しても不思議ではない。

 昨年の11月、新井は「野球選手としてもう一度勝負したい」と、新たな環境で挑むことを決断した。そして、その場所が古巣・広島だった。移籍決定直後から緒方監督は「特別扱いしない」と言い続けてきた。本人も、「気を遣ってもらうような選手になりたくない」とマイペース調整が許される二軍ではなく、一軍スタートとなった。