メッセ&能見、巨人撃破へ1年越しの思いを語る (4ページ目)
能見は8回を5安打無失点。その裏、打席が回ってきたため代打を送られたが、球数はまだ94球だった。最大のピンチにして、能見の凄さを知らしめたのは7回だ。連打と犠打で一死二、三塁のピンチを招くと、続く小窪哲也を敬遠。満塁策を取り、鈴木誠也を三ゴロ(フォースアウト)、會澤翼を見逃し三振に仕留めた。特に圧巻だったのは、會澤への決め球だ。カウント2-2から内角にズバッとストレートを投げ込むと、會澤のバットはピクリとも動かなかった。
「満塁で開き直りました。打たれてもいいくらいの気持ちで。(直球を選択したのは、捕手の)ツルさん(鶴岡一成)と一致したので」
状態は決して良くなかった。「3回くらいまで、真っすぐを投げるとき体重が後ろに残っていた感じで、しっくり来なかった。4回くらいからバランスを考えてフォームを変えた」という。バックの好守に助けられた場面もあったが、違和感がありながらもゼロを並べ、試合途中で修正できるのは、さすが。しかも、1点も与えたくない場面で開き直り、寸分の狂いなく捕手のミットへ渾身の1球を投げ込んだのだ。
勝てばファーストステージ突破が決まる一戦を前に、「意外とシンプルに考えられた」と能見は言う。
「緊張はしましたけど、打たれるときは打たれるし、抑えられるときもある。打たれたらしょうがないくらいの気持ちでしたね。初めてならもっと考えたでしょうけど、何年もやっているんで。そこはシンプルに。打たれたらどうしようと考えるよりも、自分のピッチングをすることだけに集中しました」
打たれたときは、その「結果」を引き受ければいいということだと理解したら、「いや、それは引き受けません」と笑った。引き受ける覚悟がなければ、あの笑顔が出るはずはない。
球団初のCSファイナルステージへと進んだ阪神。次なる相手は王者・巨人。メッセンジャー、能見を筆頭に、21イニング無失点の投手陣がどんな投球を見せてくれるのか、楽しみでならない。
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