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セ・リーグ大本命の巨人はなぜ独走できなかったのか?

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 開幕前は断トツの優勝候補と思われていた巨人だが、9月2日現在、64勝51敗1分と首位に立ってはいるものの、2位・広島とは2ゲーム差、3位・阪神とも2.5ゲーム差と厳しい戦いを強いられている。今季、ここまで苦戦した理由はどこにあったのか?

極度の打撃不振で下位打線に座ることも多かった阿部慎之助極度の打撃不振で下位打線に座ることも多かった阿部慎之助

「投手力が落ちたことだと思います。エース・菅野智之の離脱も痛かったですが、それよりも誤算だったのがリリーフ陣。スコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗の調子が上がらず、3人の計算が立たなくなったことが、巨人が苦しんだ一番の要因だと思います」

 そう語るのは、解説者の吉井理人氏だ。そしてリリーフの重要性について、次のように語った。

「リリーフというのは専門職ですので、誰にでもできるという簡単なポジションではありません。それなりに場数を踏んで、経験を積まないとできません。今年の巨人には、マシソン、山口、西村に代わる投手がいなかったことが大きかったですね。ただ、首脳陣にしてみれば、3人ともここまで調子が悪いとは思っていなかったはずです。ひとりでも絶対的な存在がいれば、まったく違った展開になっていたと思いますよ」

 ここで、リーグ優勝を果たした過去2年間の投手成績と、今季ここまでの成績を見てみたい。

2012年 チーム防御率2.16(先発防御率2.35/救援防御率1.75)
2013年 チーム防御率3.21(先発防御率3.52/救援防御率2.57)
2014年 チーム防御率3.78(先発防御率3.48/救援防御率4.37)

 先発陣は昨年と大差はないが、リリーフ陣は2点近く悪化。吉井氏が言うように、リリーフ陣の不調が苦戦した大きな理由であるのがわかる。

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