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セ・リーグ大本命の巨人はなぜ独走できなかったのか? (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方、攻撃陣はどうか。チーム打率.256、得点460はともにリーグワースト。なかでも、巨人打線の象徴的存在であった阿部慎之助(打率.258)と村田修一(打率.256)の不振はチームに大きな影響を与えた。原辰徳監督が「本来なら、(阿部と村田の)ふたりにはデンとしてもらいたいが、そのへんが今のチーム状況」と語ったように、実績あるふたりを下位に置くことも珍しくなかった。

 解説者の飯田哲也氏は、原監督の選手起用も苦戦の理由ではないかと指摘する。

「できれば先発オーダーは固定した方がいい。選手にとっては自分の役割がはっきりしているだけでも戦いやすいですし、しっくりくる打順というのがあるんです。もちろん、結果を出していればそんなことにならなかったと思うのですが......。それに、これまで中軸を担っていた実績のある選手などは、あまり打順を下げられると、当然面白くありません。しっかりとコミュニケーションをとっていれば大丈夫ですが、場合によっては監督不信になることも考えられます」

 今季、原監督はここまで116試合で89通りの打線を組んだ。主力の不振やケガがあったにしてもかなり多い。解説者の与田剛氏は次のように語る。

「こうした背景には台所事情もあったと思いますが、一方で若手の育成も少なからずあったのではないでしょうか。今年は主力に故障や不調が相次ぎました。そういう状況を見て、原監督はこのままでは今年だけでなく、来季以降の戦いも厳しくなると判断したと思います。戦力としては独走できるだけのものを持っていても、あえていろんなことに挑戦した。原監督の"成長戦略"といったものを感じました」

 その中から出てきたのが、投手の小山雄輝であり、外野のポジションをつかんだ橋本到、さらに阿部に代わりマスクを被る機会が増えた新人の小林誠司といった選手たちだ。当然、実績のない選手の起用はリスクも大きい。それでも彼らを起用したところに原監督の"成長戦略"が見えるというのが、与田氏の見方だ。

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