プロ野球開幕1カ月。解説者7人が選ぶ「3大ニュース」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

◎与田剛(第2回、3回WBC投手コーチ)

①菅野智之(巨人)の成長
②二刀流・大谷翔平(日本ハム)の活躍
③オリックスの快進撃

「2年目の菅野の成長ぶりには驚きですね(6試合、5勝0敗、防御率1.89)。自分が投げる試合は最後まで投げきるんだという気迫。それでいて冷静に打者を打ち取る投球術。マウンドでの姿はすでにエースの風格が漂っています。今年の菅野のピッチングを見て思うのは、ストレートへのこだわりです。昨年のシーズン終盤は変化球に頼ったピッチングになっていたのですが、今年はストレートを軸に勝負しています。それだけ自信がある証拠だと思います。2年目でいえば、二刀流に挑戦中の大谷翔平の活躍も目立ちます。バッティングに関しては、本当に"天才"じゃないかと思うぐらい、簡単にヒットを打ってしまう(打率.393、1本塁打、12打点)。高卒2年目の打者のレベルではありません。あれほどレベルの高いバッティングをするとは思っていませんでした。一方、投げる方でも大きな進歩が見られます(4試合、2勝1敗、防御率2.86)。変化球でもストライクが取れるようになって、投球の幅が広がりました。決め球であるフォークの精度も上がっていますし、打者を打ち取れるパターンができたことが何よりも大きい。もう少し細かいコントロールがついてくると、もっと勝てると思います。本物の二刀流になりつつあります。チームに目を向ければ、やはりオリックスですね。元々、投手力に定評のあったチームですが、今年は打線がいい。李大浩(イ・デホ)、バルディリスが抜けてどうなるかと思われましたが、逆に競争原理が生まれていい雰囲気が生まれました。特にペーニャ、T-岡田(打率.333、3本塁打、12打点)の活躍には目を見張るものがあります。彼らをうまく生かす環境作りができたのでしょうね」

◎飯田哲也(元ヤクルトコーチ)

①松井裕樹(楽天)の二軍降格
②上本博樹(阪神)の活躍
③オリックスの快進撃

「正直、松井はもっとやれるだろうと思っていたので残念ですね(4試合、0勝3敗、防御率6.05)。キャンプ、オープン戦で彼のピッチングを見て、あれだけの球を投げられるのだったら、一軍でも十分に通用すると思っていました。ただシーズンに入ると、オープン戦の時のような思い切りが消え、慎重に投げようとしすぎていたような印象を受けました。コントロールばかりに気を取られ、持ち味である腕の振りの良さが消えてしまいましたね。セ・リーグでは上本の活躍が目立っています(打率.333、1本塁打、12打点)。開幕シリーズの巨人戦で西岡剛が負傷して戦線離脱。その穴を上本が十分過ぎるぐらい埋めています。もともと評価の高かった選手ですが、なかなか出場機会に恵まれず、昨年は開幕前のケガでシーズンを棒に振ってしまいました。ただ、これだけの活躍をすれば西岡が戻ってきたとしても控えにはできないでしょう。そうしたチームの底上げが今の好調さにつながっていると思います。チームだと、やはりオリックスですね。開幕前は最下位に予想していたのですが......とんでもなかったですね(笑)。好調の要因は打線でしょうね。もっと苦戦すると思っていたのですが、うまく足を絡めて少ないチャンスをものにできています。森脇監督の目指す野球が浸透してきた証拠でしょうね。この勢いはしばらく続くと思います」

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