2014.03.22

栗山監督が語る「斎藤佑樹と大谷翔平に賭ける意味」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 監督就任1年目の2012年、斎藤佑樹を開幕投手に指名し、中田翔を4番に抜擢するなど、大胆な采配でパ・リーグを制した日本ハム・栗山英樹監督。しかし昨年は、二刀流ルーキー・大谷翔平など見どころはあったが、最下位に甘んじてしまった。そして迎えた3年目、どんな采配でチームの立て直しを図るのだろうか。指揮官を直撃した。

監督就任3年目を迎えた栗山英樹監督。

―― 就任1年目に優勝、2年目に最下位。3年目のキャンプでは、監督としてどんなことを大事に考えていらっしゃいましたか。

「僕がいちばん大切にしているのは、今、自分がいなくなっても大丈夫なチームになっているのか、ということです。それはもちろんヘンな意味ではなくて(笑)、仮に今、野球ができなくなっても、地球が終わったとしても、今日までに(監督として)最低限、やらなきゃいけないことをきちんとやれてきているのかどうか、ということ。『この選手にこういうことを伝えなきゃ』『この選手にはこのタイミングで話しておかなきゃ』ということを後回しにせず、今日、やり尽くしているかどうかを大切に考えています」

―― それは、監督が今の選手たちに求めていることと同じですね。

「確かに選手たちには、『今日一日で野球が終わってもいいと言えるくらい、やり尽くして下さい』と言っています。でも、だから自分も、というのではなく、むしろ逆かもしれません。自分が覚悟しなければ、自分がやらなければ、人はやってくれないし、伝わらない。自分がそう思っているなら、まず自分がやる。その上で選手に伝える。2年間やってみて、その順番は大事なんだということを痛感しました」

―― 3年目、監督として、選手に対する言葉の使い方、選び方にご自身で変化を感じていますか?

「去年の反省をひとつ挙げるなら、同じことを続けてはいけないということがあります。もちろんブレてはいけないんだけど、同じことをするにしても、方法論を変えてあげないと伝わりにくくなってしまう。たとえば、『よくやったね』という言葉は選手の安心につながってしまうことがある。あるいは大量点を取ったベンチの中で、自分の何気ない言葉が『もう、これでいいんだ』になっちゃったこともあった。どんな試合でも緊張感が必要なのに、油断を招いてしまうこともあるんです。チームは生き物だし、選手も生き物、そして、言葉も生き物。そこを理解して、こっちがコントロールできないと、思わぬ問題が起きてしまうことを、去年はイヤというほど感じました」

―― そういうことを踏まえて、このオフはどんな構想を練っていたのでしょう。

「去年の秋、お亡くなりになった川上哲治さんの『遺言』(文春文庫刊)という本を読み返してみたんです。そこに『勝つことは難しい、勝ち続けることはさらに難しい、一度手放したものを取り返すのはもっと難しい』と書いてあった。それって、まさに僕のことじゃないですか。これは以前も読んだ本だったんですけど、監督という仕事をしてから読むと、まったく違う本になる。選手たちの気持ちを前に出すためどうしたらいいかとか、教育とは叱ることがベースであるとか、監督を生業とする人のために書かれたんじゃないかと思うほど、自分自身、思い悩んでいたことの答えがすべてそこにありましたね」