2014.02.01

楽天・立花球団社長が語る「大物メジャーリーガーを獲れる理由」

  • 中島大輔●構成 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

昨年のA・ジョーンズに続き、K・ユーキリスを獲得した楽天の立花陽三球団社長。

楽天・立花陽三球団社長インタビュー(1)

 プロ野球12球団キャンプが始まった。なかでも注目を集めるのが、久米島でキャンプを行なっている楽天だ。昨年のアンドリュー・ジョーンズに続き、またひとり超大物メジャーリーガーが加入するからだ。それが、メジャーリーグで10年間プレイし、通算150本塁打。2008年には最も活躍した打者に贈られる「ハンク・アーロン賞」に輝いたケビン・ユーキリスだ。とりわけ選球眼に優れ、2003年にベストセラーになった『マネー・ボール』では「四球のギリシャ神」と命名されている。それにしてもなぜ、楽天ばかりが超大物外国人を獲得できるのだろうか。立花陽三社長に話を訊くと、その答えは楽天ならではの”経営哲学”にあった。

―― まず、ユーキリス選手の獲得の経緯から教えてください。

「移動で新幹線に乗っているとき、新聞でユーク(ユーキリスの愛称)の記事を見たのがきっかけです。オリックスとユークが話をしているというような記事が出たんですね。で、ウチのスカウト部隊に『どんな選手?』って軽い気持ちで聞きました。それとデータ担当の部隊には、『もし日本に来たら、どれくらいの数字を残せるの?』って。それがスタートです」

―― 彼の名前はご存知でしたか?

「『マネー・ボール』に出ていた人だな、というくらいで。それも後から聞きました。メジャーをずっと追いかけている担当者が『ユーキリスが来たらすごいことですよ』と言っていて、いろいろ調べたら、すごい選手だった(笑)。すぐに在米スカウトに連絡を取ったら、その翌日にはユークに会う約束を取りつけていました」

―― 当初は獲得候補リストには入っていなかった?

「入っていなかったです。もっと言うと、シーズン中からリストを作っていますが、当然、状況は日々変わります。毎日チャット状態で担当者から話が来るので、毎日会議をやっているのと同じ。逆に、いわゆるみんなが集まっての会議というものはほとんどやりません。ウチは獲得までのフローが、ほかの球団とは違うような気がしますね。例えば今日リストが上がってきて、明日採用できるような会社なので。それくらいスピード感があります」

―― ユーキリス選手に期待する部分はどこでしょうか?

「選球眼と長打率です。このふたつは歳を取っても落ちないし、チームが移籍しても変わらない。その事実が数字上で出ているんです。ユークが日本に来ても、選球眼も長打率も変わらない。つまり日本にアジャストしやすくて、そういう選手が成功しやすい。リスクがいちばん低い投資だと思っています。AJ(アンドリュー・ジョーンズの愛称)もそうですね」

―― 立花社長が渡米し、ユーキリスと直接交渉した直後、Twitterで「素晴らしい人物だ」とつぶやいていたのを見ました。どのあたりが素晴らしいと思ったのですか?

「今回、彼はウチも含め8球団からオファーが来ていたんです。それを全部断って、ウチに決めてくれました。僕がすごいなと思うのは、何をするにでも家族を中心に考えること。物事を決める軸がきちんとしている。今回の移籍も、奥様が『日本は面白そう。家族のためにもそういう経験はいいんじゃないか』ということで、決まったみたいなんです。『メジャーだけが職場ではなく、日本のベースボールを見てみるのも自分の仕事だ』とはっきり言える選手って、そんなにいないと思うんです」