ブレイク間近。春季キャンプで注目したいニューフェイスたち (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 昨年まで日本ハムで打撃コーチをつとめた渡辺浩司氏は、「スイングスピードが速く、しっかりスイングできるので打球が伸びる。ツボに来れば軽々スタンドインできるパンチ力もあるし、いずれは中軸を担うだろう。2年間ファームでしっかり鍛えたので、今年は一軍のチャンスは多くなる。打つだけでなく足もあるので、試合に使いたくなる選手」と魅力を語る。

 石川には追い風も吹いている。まず、中田翔がサードにコンバートされたことでレフトのポジションが空く。さらに、二刀流の大谷翔平が今季は先発ローテーションの一角を狙うことになったため、大谷が先発登板する日はライトのポジションも空く。積極的に若手を起用する栗山英樹監督のもと、伸び盛りの勢いに乗って一気に外野の一角を奪う可能性もある。

 投手で目が離せないのは、なんと言っても阪神の松田遼馬(19歳)だ。昨年は右肩の故障のため開幕から出遅れたが、7月13日の横浜戦で一軍デビューを果たすと、そこから登板したリリーフとして17試合連続で無失点と強烈なインパクトを残した。すでに昨シーズンに頭角を現してはいるが、今年はその存在が全国区になっても不思議ではない。

 今年の松田について金村氏にうかがうと、「ボールが速いだけでなく強さがある。少々甘いボールでも押し込めるのが最大の強み。マウンド度胸もいいし、間違いなくタイガース投手陣の中心になる存在。活躍が本当に楽しみ」と語る。

 今季の阪神は新たに獲得した呉昇桓(オ・スンファン)がクローザーをつとめ、サウスポーの加藤康介が8回、松田が7回を担うのが、"勝利の方程式"の基本形になる。最後にリーグ優勝した2005年に勝利の方程式で7回をつとめたのは藤川球児のような輝きを松田が放つことができれば、9年ぶり覇権奪回も見えてくるはずだ。

 中日の西川健太郎(20歳)も飛躍が期待されるひとりだ。2011年ドラフトで高橋周平に次いで2位指名された本格派右腕は、昨年はプロ初勝利を挙げたものの、9試合に先発して1勝6敗。制球を乱して自滅するケースが目立ったが、145キロ前後の力のある直球、キレのあるスライダーやカーブなど、ボールの質は素晴らしいものを見せた。

 森繁和ヘッドコーチは、「しっかり前で腕が振れるので、ベース付近でも勢いが落ちない。まだまだコントロールにばらつきがあるけど、体ができてくれば制球も安定してくると思う。活躍してくれなきゃいけないピッチャーのひとり」と期待を寄せる。

 先発投手はエース・吉見一起の故障などで駒不足なだけに、西川は一軍スタートとなった春季キャンプでしっかり首脳陣にアピールして、チャンスをつかみ取りたい。

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