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セ・リーグCSファイナル。解説者7人が語る「巨人の死角」 (3ページ目)

  • 阿部珠樹●構成 text by Abe Tamaki
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

与田剛(第2回、第3回WBC 日本代表投手コーチ)

 ジャイアンツの調子がいい時というのは下位から上位につなぐ形ができている時。9月以降に得点力が落ちたのは、下位から上位につなぐ形がうまく作れなかったことが大きい。そう考えるとCSでは下位打線の出来がポイントになると思います。
 終盤の戦いぶりを見ると、調子の落ちた坂本勇人を7番に置いたり、外国人や若手野手をいろいろな形で試したりとベンチも工夫していたが、必ずしもいい結果は出ていなかった。
 相手のカープはタイガースとの戦いを見ると打線の調子は明らかに上向き。3~4点は取れるはず。3、4点勝負になったとき、下位から上位につなぐジャイアンツ本来の形ができないと苦しくなる。

吉井理人(元日本ハム投手コーチ)

 優勝決定後のジャイアンツは気を抜いたわけでもないだろうが、あまり強さは感じられなかった。一番の理由は先発投手の出来が不安定だったこと。点の取られ方がよくなかったし、ボール自体の力も落ちていて、怖さを感じなかった。シーズン終盤で疲れもあったと思うが、それがどこまで回復しているか。
 投手陣でもうひとつカギになるのは澤村拓一の使い方。投手コーチとしての経験からいうと、短期シリーズでは2~3回任せられるロングリリーフの存在は絶対に必要。シーズン途中からリリーフに回った澤村を、ベンチはそういう使い方をするはず。先発の状態が悪くても、澤村がうまくはまって2、3回抑えられればリリーフの三本柱(マシソン、山口鉄也、西村健太朗)も楽になる。それができなかった場合、リリーフ三本柱がイニングをまたぐようなケースも考えられ、終盤がもつれるかもしれない。

金村義明(元近鉄など、現プロ野球評論家)

何といってもジャイアンツの中心は阿部慎之助。攻守両面で彼の果たす役割は大きい。9月以降のジャイアンツにそれ以前の強さが見られなかったのは、優勝確実という気のゆるみではなく、阿部の状態の悪さが影響していたのではないか。
 特に今シーズンは開幕前にWBCがあり、早めに仕上げて実戦を消化しなければならなかった。侍ジャパンのキャプテンとしての重圧もあり、終盤の疲れはいつも以上だと考えられる。ヒザの状態が万全ではないという話も聞いたし、帯状疱疹の具合もはっきりしない。マスクを被るのが苦しいというような状態になると、いくら3位のカープ相手とはいえ、決して安心できない。阿部の出来が巨人の命運を握っていると言っても過言ではない。

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