2013.10.10

CS初進出の広島に「ジャイアンツ・キリング」の予感!

  • 大久保泰伸●文 text by Ohkubo Yasunobu
  • photo by Nikkan sports

 16年ぶりAクラスの勢いそのままに――。悲願のクライマックス・シリーズ(CS)進出を果たしたセ・リーグ3位の広島が、「史上最大の下克上」を狙う。

 広島のレギュラーシーズンの成績は69勝72敗3分(勝率4割8分9厘)。勝率5割を切ったチームがCSに出場するのは2009年のヤクルト(71勝72敗1分)以来、2度目。さらに、今季リーグ優勝した巨人とのゲーム差は「17」。もし、広島がCSを勝ち上がって日本シリーズ進出となれば、現行制度見直しの声も出かねない状況だ。それでも、現在のカープには、そんな騒動を起こしてしまいそうな勢いと可能性がある。

9月以降は16勝9敗1分と勝ち越し、16年ぶりのAクラス入りを果たした広島

 この広島躍進の要因には、3つのキーワードが挙げられる。「ケガの功名」「昨年の教訓」、そして「指揮官の覚醒」だ。特に後半戦は、これらの要素が見事にかみ合い、快進撃につながった。

「ケガの功名」は、開幕早々から見られた。春季キャンプで、セカンドのレギュラー候補だった東出輝裕が左ヒザ前十字靭帯を断裂し、今季絶望の重傷を負った。その代役として起用されたのが、本来はショートを守る2年目の菊池涼介だった。

 今季から就任した新井宏昌打撃コーチが、「コーチに就任して、最初に名前が浮かんだ3人のうちのひとり」という菊池は、もうひとりの丸佳浩(打率2割7分3厘、29盗塁で盗塁王獲得)とのコンビで打線に新風を吹き込んだ。チーム最多となる141試合に出場し、打率2割4分7厘ながら球団新記録となる50犠打をマーク。守備でも規格外の守備範囲の広さで、日本新となる528捕殺を記録した。

 また、ここ数年、貧打に泣かされた打線のターニングポイントとなったのが、6月に途中入団したキラの存在だ。新井コーチが「キラが加入して軸が固まってきたことで、点が入る雰囲気が出てきた」と評価する新外国人の獲得は、開幕から4番を任されていたエルドレッドが右手首に死球を受けて骨折し、離脱したことがきっかけだった。キラ(66試合に出場し、打率2割5分9厘、14本塁打、45打点)の加入後、打線は1試合平均4.5点を叩き出し、それまでの3.3点を大きく上回った。