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CS初進出の広島に「ジャイアンツ・キリング」の予感! (3ページ目)

  • 大久保泰伸●文 text by Ohkubo Yasunobu
  • photo by Nikkan sports

 何より光ったのが野村謙二郎監督の積極采配だった。その最たるものが、終盤に見せたエルドレッドとキラの両外国人の併用だ。ふたりの適正ポジションはともにファースト。だが、野村監督は守備面でのリスクは承知の上で、エルドレッドをレフトで起用した。実際のところ、失点につながるミスも度々あった。それでも、「今年は打ち勝つ野球がテーマ」(野村監督)と最後まで攻撃野球を貫いた。

 キラが来日当初の勢いを失った9月に4番復帰したエルドレッドは、打率3割2分9厘、7本塁打、15打点と打ちまくった。野村監督は「万馬券が当たったようなもの」と自らの起用について語ったが、ハイリスクハイリターンの決断が見事にはまった結果となった。

 10月12日から始まるCSファーストステージで、まず広島はセ・リーグ2位の阪神と対戦する。今季、阪神との対戦成績は12勝12敗とまったくの互角。しかし、9月以降の両者の対戦では4勝1敗と広島が勝ち越しており、勢いの差は歴然としている。

 しかも、広島には絶対的エースの前田がいる。前田は今季、阪神戦に6試合先発して4勝1敗、防御率0.40と抜群の成績を残しており、甲子園に限っていえば2戦2勝で防御率0.00と1点も許していない。前田は初戦の登板が予定されており、ここを確実に取れば、3試合制(2勝で勝ち抜き)のファーストステージを勝つ可能性は高くなる。

 ファーストステージを勝ち抜けば、セカンドステージで対戦するのが巨人だ。今季、巨人との対戦成績は8勝14敗2分と大きく負け越しているが、9月以降に限れば広島が5勝2敗と勝ち越している。また、昨年5月から14連敗を喫していた「鬼門」の東京ドームでの戦いも、7月25日の試合で1イニング8得点の猛攻で勝利し、その後も4戦2勝と苦手意識を払拭した。

 7月24日の時点で、広島の借金は今季最多の「14」に達していた。目標だった5割には届かなかったが、9月以降は7連勝を含む16勝9敗1分と巨人、阪神の上位チームを上回る成績で3位に入った。それだけに1991年以来となる日本シリーズ進出も……広島ファンは今、そんな夢を見ている。

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