藤浪晋太郎が語る「プロの選手になったと実感した時」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 岡野秀樹●写真 photo by Okano Hideki

―― 1年前を振り返って、当時はなかったけど、今、自分の武器となっているものがあるとすれば、何ですか。

藤浪 球のスピードであったり、変化球のキレであったり、能力的な部分はそれほど変わっていないと思います。ただ、自分の中でいちばん成長したことは、プロの配球についていけるようになったことですね。

―― プロの配球?

藤浪 なかなか表現するのは難しいんですが、簡単にいえば、球種とコースの使い方ですね。例えば、バッターひとりを打ち取るのにもいろんなパターンがあります。キャッチャーのリードによって、何を要求されているのかがわかってきました。これはファウルを狙う球だとか、これは次の球の伏線になる球だとか。試合を重ねるうちに、わかるようになってきました。

―― それが1年目の10勝につながった?

藤浪 それは大きいと思います。1年前はそんなことはまったく考えていませんでしたから。キャッチャーのリード通りに投げているだけで。あとはプロの打者に慣れてきたことが大きかったと思います。きっかけはオープン戦最後のオリックスとの試合でした。結果は6失点でKOされたんですが、実はこの時、「こうしたらいけるんとちゃうか」という感覚を掴みました。オープン戦の最初の頃は、どこに投げればいいのかわからなかったし、プロの打者がどういう反応をしてくるかもわからなかった。でも、対戦していくうちに、ここに投げればいいとか、この球にはこういう反応をしてくるとか、わかるようになってきました。もう少し自分の調子が上がってくれば、ある程度やっていけるかなと。

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