2013.07.14

ヤクルト・小川泰弘はライアンではなく野茂英雄だ!

  • photo by Nikkan sports

セ・リーグ1番乗りで10勝を挙げた小川泰弘。セの新人が最初に2ケタに到達したのは99年の上原浩治(当時・巨人)以来だった。吉井理人の「投究論」 第2回

 ルーキーながらセ・リーグ10勝一番乗りを果たしたヤクルトの小川泰弘。大投手、ノーラン・ライアンを真似た足を高く上げる独特のピッチングフォームが特徴ですが、初めて小川のピッチングを見た時、ライアンよりも野茂英雄にそっくりだと思いました。

 投げるまでのリズムの取り方は、確かにライアンに似ていると思います。しかし、スリークォーターかサイドに近い投げ方だったライアンに対し、小川は今では珍しくなったオーバースロー。さらに軸足に体重を乗せてタメを作るピッチングフォームは、野茂を彷彿(ほうふつ)させます。野茂の他にも、2011年に21勝を挙げてMLBナ・リーグの最多勝に輝いたクレイトン・カーショー(ドジャース)も左右の違いはありますが、同じような投げ方です。

 足を高く上げる投げ方ですが、実際、簡単ではありません。普通、あれだけ足を上げればバランスを崩してもおかしくありません。でも、小川はしっかりと自分のものにしています。相当の走り込み、投げ込み、ウエイトをやった証(あかし)です。フォーム的には、足を高く上げた方がスムーズに体重移動ができるし、勢いもつく。小川のストレートは140キロちょっとですが、バッターは球速以上のキレを感じていると思います。

 さらに、足を上げてからタメを作るため、タイミングも取りづらい。野茂もそうだったのですが、小川もなかなか腕が出てきません。それでいてスピンの利いたストレートを投げ込んでくるので、バッターは差し込まれてしまう。しっかりストライクゾーンで勝負できることが、小川が安定した成績を残せている大きな要因です。

 そして小川の最大の長所は、ボールを低めに集められることです。あの投げ方は勢いがつく反面、疲れが出てくると体重が後ろに残り、ボールが高めに浮きやすくなる。でも、ここまでの小川を見ている限り、そうした場面はほとんどありません。強靭な体力はもちろん、「絶対に低めに投げる」という意思の強さを感じます。