ロッテ・大嶺祐太を復活させたふたりの恩人
5月19日の広島戦では3年ぶりの完封勝利を挙げた大嶺祐太。 交流戦に入ってもパ・リーグ首位を走るマリーンズ。その好調なチームに大きく貢献しているのが入団7年目の大嶺祐太だ。大嶺は八重山商工高時代の2006年、甲子園で150キロを超すストレートで注目を集め、ドラフト1位でマリーンズに入団。当時、ボビー・バレンタイン監督がわざわざキャンプ地を鹿児島から大嶺の故郷である沖縄・石垣島に変更してまで欲しがった逸材だ。
入団2年目の2008年に2勝をマークし、2009年は5勝、2010年は3勝と勝ち星は挙げたが、飛躍的な活躍をすることはなかった。その後は制球難や肩の故障などもあって、2年間、勝ち星はなし。昨シーズンは一度も一軍のマウンドに立てなかった。
今シーズンも開幕当初は二軍だったが、イースタンで3勝、防御率0.39という抜群の成績を残し、4月下旬に一軍昇格を果たした。
そして一軍今季初登板となった4月28日、味方の援護なく負け投手にはなったがホークス打線を7回途中まで2失点に抑える好投をみせた。そして5月5日、再びホークス打線に対して5回1失点に抑え3年ぶりの勝ち星を挙げると、5月19日のカープ戦は完封勝ち。同26日のベイスターズ戦では、毎回のように走者を背負いながら5つの併殺打で切り抜け、今季3勝目をマークした。「未完の大器」が完全にひと皮むけた印象だ。大嶺は言う。
「今年は、最初は二軍でしたし、一軍に上がってもローテーションで投げることを約束されているわけではなかった。そこでまず考えたのが、どうすればベンチから信頼されるかということでした。三振が何個とか、球速がどれくらいということより、6回もしくは7回をいかに2、3点以内抑えるかが大事。カープ戦での完封はその延長みたいなものでした」
139球を投げての完封勝利は、さすがに心身ともに堪(こた)えた。それでも大嶺には充実感があった。
「6回ぐらいからきつかったです。でも、点差があったことと、8回を三者凡退で切り抜けられたことが大きかった。3年前のプロ初完封は勢いでやったような感じでしたが、今回はしっかり投げたという手応えがありますね」
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