交流戦直前。「実力のパ」は好調・巨人を止められるか? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 では、今年の巨人投手陣対策はどうなのか? パ・リーグ某球団のスコアラーは次のように語る。

「内海哲也、杉内俊哉に加え、今季は菅野智之が加わり、先発投手陣は質、量ともに12球団トップでしょう。なかでも大きいのが菅野の加入です。正直、今の巨人投手陣の中で一番計算できる投手。ボールのキレ、コントロールともにルーキーとは思えない。私もいろいろと研究しているんですけど......なかなか欠点が見つかりません(笑)。唯一挙げるとすれば、スライダーがたまに抜けて甘い球になる。それを一球で仕留めることができるかどうかでしょうね。昨年に比べ、ホームランは増えていますし、菅野を攻略するにはそれしかない。ただ、他の投手に関しては、昨年ほど怖さがないというのが本音です。澤村は開幕直後から苦心のピッチングが続いていますし、杉内にしても、絶対に点を取られないという感じがしない。それは内海にも同じことが言えます」

 昨年の交流戦で、内海は5試合に登板して4勝0敗、防御率1.29、杉内は6試合に登板して4勝1敗、防御率1.76の好成績を残している。パ・リーグの打者にとっては天敵ともいえる存在だが、前出のスコアラーの意見に同調したのが、WBCで投手コーチを務めた与田剛氏だ。

「杉内も内海も、昨年のこの時期は手がつけられないぐらい素晴らしかった。ただ今季は、これまでのピッチングを見る限り、そこまでとは思いません。一番はコントロールの精度。ピンポイントでコーナーを突いてくる球が減った気がします。そこをパ・リーグの打者たちがどう判断するかでしょうね。もし怖さを感じないようであれば、昨年ほど手強い相手にはならないと思います」

 そして巨人打線に関しても、次のように語った。

「72年ぶりに開幕7連勝を飾り、『今年の巨人はどこまで強いんだ』と周りが勝手に騒いだというか、巨人の実力を買いかぶり過ぎていた部分があると思うんです。確かに、開幕時は投打の歯車がかみ合って、磐石の試合運びをしていたと思うのですが、ヤクルト、阪神に3連敗するなど、脆さがあります。打線を見てもわかるように、阪神の能見篤史や榎田大樹、ヤクルトの八木亮祐など、左投手にめっぽう弱い。パ・リーグにはロッテの成瀬善久や日本ハムの武田勝、吉川光夫など、左の好投手がいますから、これだけ顕著なデータが出ていると、巨人に対して左投手をぶつけてくることは十分に考えられる」

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