【WBC】3連覇ならず。準決勝で露呈した山本采配の限界 (2ページ目)
「ひとつでも前の塁に行くという作戦でした。失敗しましたけど、悔いはありません。選手たちはよくやってくれました」
試合後、山本浩二監督はそう言って選手たちをかばったものの、自身の采配の咎(とが)に関しては言及しなかった。
山本監督は、2月15日の宮崎合宿初日から、「一体感」をチームに求めてきた。メジャー組がひとりも参加せず、国内組だけで3連覇を目指すには、個の力ではなく、28人が一体となって勝ち抜いていくしかなかった。
先発の柱だった田中将大がわずか2回で降板した1次ラウンド初戦のブラジル戦ではリリーフ陣がスクランブルで登板して踏ん張り、連打が出ずに苦しんだ2次ラウンドの台湾戦では先述の鳥谷の好走塁と井端の代名詞である右打ちが日本に流れを呼び込んだ。チームの結束力や投打の「つながり」は試合を重ねるごとに生まれていった。
エースの前田健太が右肩の不安を振り払うような好投を続け、2度に及んだオランダ戦では打線が爆発、アメリカに来てチームはいよいよ完成に近づいていた。前回大会のイチローや松坂大輔、ダルビッシュ有といったチームの象徴となる選手はいなかったが、28人がそれぞれの役割を徹することで日本は快進撃を続けた。
チーム最年長の稲葉篤紀は言った。
「前回大会よりチームはひとつになっていた」
それは今大会で主将を務めた阿部も同じ意見だった。
「一戦一戦やるごとにチームになっていきましたし、やっと一体になってきた」
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